オートバイに乗ってみたくて仕方が無かった頃、
夢中になって読みあさっていたバイク雑誌の記事に
1985年に鈴鹿で開催される8時間耐久レースの情報が載っていました。
当時、日本人ライダーの中で名実ともに優れていた平忠彦氏。
そして、キングと呼ばれていたケニー・ロバーツ氏の二人が
同じチームのライダーとして参加するという衝撃的な内容に驚いたものです。
用意されたバイクはヤマハFZR750。
TECH21のカラーリングもスタイルも斬新で格好良く、
全てが揃ったチームだったと、未だに忘れられない編成でした。
レースの展開としては、ポールポジションからスタートしたものの
エンジンの始動が上手く行かずに、ほぼ最後尾から走り始めます。
そしてトップまで追い上げ、当然そのままレースが終わると思われたころ
マシントラブルによりリタイヤとなります。
この現実も厳しいもので、記憶から消えません。
その時のFZR750を今回作ることにしたのです。
キットの内容も敷居が高く思えて、
正直なところ、なかなか手を付けられないままでした。
フレームや燃料タンクなど
下地に艶のあるブラックで塗装しておき、
上からプレミアムミラークロームを吹きつけます。
この塗料は一度に厚塗りしないようにしつつ
均等にフンワリと乗せていくようにすると発色が良いようです。
綺麗に発色してきたと思しきところで止めるのも大事かと。
欲張ると普通のシルバーになってしまいます。
エンジンはアルミシルバーを吹きつけて組み立て、
墨入れもしてみました。
こうすると金属感が出て、重く見えるようになってきます。
小さな部品の細かい造形が際立ってくるのも面白い。
カウリングなどの外装部品に白サフを吹き、
マスキングしてストライプを入れました。
マスキングで隠れている部分はデカールが付属で用意されていますが、
部品へのフィッティングを考えて塗装してみる事に。
緊張の連続で、塗装を済ませ
デカールでロゴを入れました。
アッパーカウルとアンダーカウルは借り組みして
裏側をマスキングテープで留め、
デカール乾燥後にカッターで切れ目を入れてから分割。
シートカウルのゼッケンもデカールになっていて
黒い部分は外側から固定する為のピンが掛かる窪み部分と、二分割になっています。
境目に隙間ができてしまったので、
セミグロスブラックでタッチアップしました。
クリアーを重ねると、分からなくなりました。
フレームにエンジンを載せ、マフラーを装着。
燃料タンクや前後にタイヤが付くと
バイクらしくなってきました。
塗装に続く難関はホースの接続。
例えば説明書ではスロットルワイヤーが2本の構成。
フロントブレーキも左右のキャリパーに繋がるため、2本で構成されています。
それがハンドル部品にはブレーキ分が1本だけという・・・
とにかく繋がないわけにはいかないので、
ハンドル部品にピンバイスを使って穴を開け
伸ばしランナーを作って穴に差し込んで接着。
そのランナーにホースを繋ぐように細工しました。
ところがそのアイデアは安易だったようで、
ホースを接着する際に流し込んだ接着剤が
伸ばしランナーの接着剤と混じりあって溶け出し、
丸ごと外れてしまうという・・・
ランナーかホースを違った接着剤で固定するか、
金属的な物を使って、違った接着剤で作る方が賢明なようです。
そんな訳で、付いたり外れたりの攻防が繰り返されました。
難点をもう1つ挙げると
フロントブレーキキャリパーのホースを繋ぐ部分が弱く、
ホースの曲がるクセに押されて変形し、破損してしまいました。
華奢な部分だけに、どうしたものかと悩んだ末
とりあえず折れてしまった切断面同士を接着剤で固定。
その上から細かく切り出したティッシュペーパーをあて、
接着剤を染み込ませることで補強して固めました。
乾いても下地が透けてくるので、肉眼では分かりません。
気になるようでしたら、タッチアップも良い方法かと。
何度も試練を強いられながら、疲労困憊で完成させました。
実は途中から1台追加して作り始めてしまいました。
苦労しただけに、外装で隠れてしまうのは残念に思いまして・・・
もちろん苦戦したのは2台とも同じ部分です。
でも完成させた喜びは2台分です!!
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